デザイン・雑学

金属と陶器の意外な関係

hitotoi 金胎陶芸アクセサリー デジタル鍛金

こんにちは金胎陶芸アクセサリーhitotoi(ひととい)の犬塚です。

陶器って土をこねて、釉薬かけて焼いて・・・と、だれでも知っているような内容に、実は金属が深くかかわっている部分があるんです。

今回は、あまり知られていない陶器と金属の関係についてお話しします。 

ジュエリー・アクセサリーと金属

 プラチナ、金、銀、銅はジュエリー・アクセサリーにとてもよくつかわれる金属です。

 銅のジュエリーなんて見たことないよ??と言われる方が多いと思いますが、プラチナジュエリーの回や、シルバー950の回でお話ししたように、銀合金や金合金などの材料として使われています。 

さらに銅のジュエリー・アクセサリーは見たことなくても真鍮のアクセサリーはよく見るのではないでしょうか。

真鍮は銅と亜鉛の合金で、磨いた時の美しい金色や、アンティークっぽい風合いが出せ、単価も銀に比べるとだいぶ安いためアクセサリーによく使われています。 

この辺りまでは一般常識といってもいいくらいですよね。では陶器に金属?私も初めは陶芸って土でしょ?くらいの認識しかありませんでしたが、実は液体として使われている、あれに入っているのです。 

陶芸と金属

 金胎陶芸を研究し始める前は、陶芸は土をこねて形作って焼く。釉薬?絵の具とおなじでしょ?くらいの認識だったのですが、金胎陶芸を始めるにあたって釉薬を研究し始めてびっくりしました。 

鉄??銅!? 

そうです。

釉薬の原料には鉄や銅といった金属が使われているのです!

 釉薬の主原料はガラスになる元である、硅石や長石といったガラス質を作るものですが、色を出すための原料として鉄や銅が使われているのです。 

鉄だと黄色、赤色、黒色などが出せますし、銅であれば緑色や青色を出すことができます。 

釉薬の主原料はガラスになる元である、硅石や長石といったガラス質を作るものですが、色を出すための原料として鉄や銅が使われているのです。 鉄だと黄色、赤色、黒色などが出せますし、銅であれば緑色や青色を出すことができます。 

じゃあ金属と陶芸の組み合わせって珍しくないんじゃないの?とお思いになるかもしれませんが、これがかなり厄介なんです。 

hitotoi 金胎陶芸アクセサリー

釉薬と金属と温度

プラチナは除外して、金、銀は1000℃くらいまでで溶けます。それに対して陶芸は1,200℃から1,400くらいまでの間で焼きます。 

ですので、釉薬も必然的に1,000℃以上で溶けるようにできています。その釉薬を金属に塗って、釉薬が溶ける温度まで温めると金属まで一緒に溶けてしまいます。 

じゃあ、釉薬を銀などが溶けない温度で溶けるように調整すればいいだけでしょ。という結論に達しますが、それだけでは済まないのです。 

例えば、鉄で黒を出そうとしていたのですが、どんな調合にしても黒が出ませんでした。色々と実験をした結果考えられるのは、黒を出すためには今の温度より高温にしないといけない(=金属が溶ける)という事でした。 

また、銅に関しては、温度を下げるためのアルカリ成分が邪魔して緑色が今のところ出せていません。青になってしまいます。 

たった数行の事ですが、この○○できないなどの単純な結論に達するまでにかなりの実験を行いました。 

金胎陶芸は一日にしてならずなのです。 

他にも使われている意外な金属

 苦労話は尽きませんし、この辺りはまだまだ面白い話がいっぱいあるのでまたの機会にします。 さて、釉薬には鉄や銅以外にもいろいろな金属が使われています。 

例えば、鉛、マンガン、ニッケル、チタン、はてにはウラン化合物を使ったりすることもあります。 私の敬愛するルーシー・リーなどは二酸化マンガンやウラン酸ナトリウムを好んで使っていたそうです。 

金属と陶芸掘り起こしたら、まだまだ面白い話が出てきそうですね。 

いかがでしたでしょうか?私の知識が少しでも皆さんの人生を豊かにする足しになったと思っていただけると、とてもうれしいです。 これからも少しだけ人生が豊かになるかもしれない雑学を書いていこうと思います。  

ロンドンでデザインを学び、最終的に日本の工芸品に行きついた、犬塚が作るhitotoiの作品は、オンラインでもご覧いただけます。

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それではまた。