デザイン・雑学

答えに困る質問「ハンドメイドですか?」

こんにちは、hitotoi(ひととい)の犬塚です。

ポップアップストアなどで接客していると、「これってハンドメイドですか?」と聞かれることがあります。実はこれ、非常に答えづらい質問なんです。

この質問に正確に答えると、ある程度長い話になるし、正直お客様はそんな話は求めていないため、答えに困ってしまいます。

今回は、ハンドメイドって実は定義が難しい!そもそも機械でポンってもののほうが少ない!!ってお話をしようと思います。

そもそも、ハンドメイドとはなんぞや

「ハンドメイド」直訳すると「手作り」です。つまり「機械で大量生産せずに、作り手が手作業で作ったもの」という意味が一般的のような気がします。

ではまず、機械を使ってはいけないのか?

機械は使ってもよさそうです。というよりも使わずに作れるもののほうが少ない気がします。

ハンドメイドのケーキです。と言われて、すごいですねー薪で火を焚いて作ったんですか?とは思わないですよね。

ジュエリーやアクセサリーであれば、ほぼ確実にリューターという磨きや削りをする機械やバーナーを使います。

じゃあ、すべてその人が作ったのか?

と言われるとそれもまた違います。ビーズのハンドメイド作品などは、工場で大量生産したビーズや糸、チェーン、等を組み合わせて作りますよね。ハンドニットだって糸は工場での大量生産です。

このように色々と考えていくと定義はある程度狭まりそうですが、じゃあどの程度の機械までOK?とかなってくるともう訳が分からないですし、意味がありませんよね。

ハンドメイドの定義とは

この定義が定まってないから苦労するってことです。なにしろハンドメイドの資格(というものがあるらしいです)を出している協会などでも、定義はいまいちあいまいだったりします。

しかし、色々とサイトや本などで定義されている事をまとめると、次のような感じになりそうです。

ハンドメイドとは手作業で使うような簡易機械(リューター、ドリル、ろくろなど)を使うことはいいが、大型機械での大量生産ではなく、作り手が作ったパーツや買ってきたものを組み合わせたり、削りだしたりして、手作業で(オリジナルを)作ること。

※オリジナルという言葉は話し出すとまたややこしそうなので、カッコでくくっておきます。

これを定義したからなに?って感じですが、この定義からなぜ私が質問されると困るのかという話をします。

これってハンドメイド作品ですか?

この質問に答えるのに困る3つの理由は

1:工場生産の線引きが難しい。

2:説明すると長い

3:ハンドメイドといいたくない

という事です。

ではそれぞれのお話をしていきます。

hitotoi-necklace-Package

1:工場生産の線引きが難しい。

hitotoi(ひととい)の作品に限らず多くのジュエリー・アクセサリーを作っているブランドはキャスト(鋳造)でできたものを使っています。

キャストは、きちんとした知識とある程度しっかりとした設備が必要になるためほとんどの方が、工場にキャストを頼んでいます。

原型を作って(型を取り複製して)、それをもとに石こう型を作り、そこに銀などを流し込み金属のパーツを作り出す。

出来上がったパーツを工場から受け取り、(ロー付けをしてパーツ同士をくっつけたり、宝石を付けたりした後、)磨くとジュエリー、アクセサリーは完成です。

つまり商品の「形」自体はキャスト(工場)で行われているのです。(もちろん削り出して作っている方もいますが)

簡単なリングなどはキャスト後、磨くだけで完成です。そうなると、「工場でつくったものを磨いただけです。」となってしまいます。この文字だけ見るとハンドメイドとはとても言えないでしょう。

では、一般の人が思っている「型取って工場でポン」ですね?という風に思われるとそれも違います。(ここもすごく語りたいですがまた別の機会に)

原型を手作業で彫り込んで作ったり、出来上がったものを磨くだけでもかなり手作業を要します。人知れずかなりの部分に手作業が入っているのです。

こういったことから、物自体は工場でキャストしたものを磨いただけでも「ハンドメイドではないです」といいにくいという事があります。

2:説明すると長い

なぜ長くなるのか、それはNOと答えた時に与える印象です。

定義上ハンドメイドに入れてもいいのだが、1のようなことがあるのでハンドメイドとも言いにくいしNOと言おうか、と考えNOというと・・・

「ハンドメイドではありません。工場でキャストしたものを磨いただけです。」といった身もふたもないことを言ってしまうと印象は最悪ですし、自分がこだわりを持って行っている手作業の部分が伝わりません。

では、「ハンドメイドではありませんが、手作業でしっかりと作っています」というとなんか言葉自体が矛盾したみたいですよね?

では、「そもそもハンドメイドとは・・・・。工場生産といえども・・・・・。私はとてもこだわって手作業で・・・・・」 長い!

じゃあハンドメイドの定義に入ってるし「ハンドメイドです」でいいでしょって言われそうですが、それもまた次のような理由があるのです。

3:ハンドメイドといいたくない

ケーキ屋さんにいってこれは手作りですか?と聞きますか?まず聞かないと思います。普通、ケーキは手作り(ハンドメイド)です。

しかし、ケーキ屋さんはハンドメイドケーキとか手作り!とか言わないと思います。「手作りケーキ」って趣味で作ったような印象だからです。

それと同じで、やはりハンドメイド作家やハンドメイド作品と言われたときはセミプロ感があります。

その道でしっかりとしたものを作っている人になればなるほど、ハンドメイドという言葉は使いたくないものです。

しかしハンドメイドですか?と聞くお客さんは「手作業ですか?」「こだわりもって作ったもので工場での大量生産ではないですよね?」といった意味で聞いてくる方がほとんどです。

そういいう意味での質問に「ハンドメイドではないです」とは答えにくいですよね。だって、こだわりもって手作業で作ってますから。

でもハンドメイドって言いたくないという気持ちもある。

そんな葛藤があるんです。

本日のまとめ

ここまで書いてきて一番の問題は「ハンドメイド」と「大量生産」の中間を表す言葉がないこと、そして、「工場生産」のイメージが悪いことがこの問題の原因だと思いました。

「工場生産」のイメージが悪いことに関してはまたの機会にお話しします。

では、私はこういった質問になんと答えるかというと

「手作業でしっかりとこだわりを持って作った、私のオリジナル作品ですよ。特にこちらは・・・」とハンドメイドに対するYes・Noを避けて答えています。

お客様が求めている答えは「ハンドメイドという定義にこの商品が当てはまるかどうか」ではなく、「こだわりを持って作っているオリジナル作品であるかどうか」だと思いますので。

しかし、ハンドメイドという言葉だけでかなり長いこと話せてしまうものですね。

いかがでしたでしょうか?私の知識が少しでも皆さんの人生を豊かにする足しになったともっていただけると、とてもうれしいです。

ロンドンでデザインを学び、最終的に日本の工芸品に行きついた、犬塚が作るhitotoiの作品は、オンラインでもご覧いただけます。

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それではまた。