デザイン・雑学

苔むす寺院。自然とデザイン。

金胎陶芸アクセサリーブランドhitotoi(ひととい)の犬塚です。

みなさんは禅寺に行かれたことがありますか?とてもきれいに苔がむす風情に身を置くと、いつ行っても心を洗われるようです。苔や花など自然の物はデザインの中でモチーフとしてよく使われますよね。

でも今回は形状などを直接使うという方向ではなく、禅寺の持つ考え方をベースにしたデザイン論を少しお話ししたいと思います。

一般に想像されるデザインとは?

みなさんはデザインといわれると何を思い浮かべますか?

カーデザイン、プロダクトデザイン、ジャケットのデザインにウェブサイトデザインetc…..

たぶん皆さんが思い浮かべたものは、デザイナーが知識と感性によって作り上げた美しいものといった感じの物だと思います。

今回の禅寺との対比で考えると、西洋の庭がまさにそれに当たると思います。

このように素材(植物)を、作り手が完全にコントロールして作り上げているものです。しかし、デザインとは、一般に思われるそういったものだけではなく、もっと多くの思想から成り立っています。

その一つの思想として、禅寺のなかのデザインを見てみます。

禅寺の中のデザイン

禅寺にも、作り手が素材である木などを完全にコントロールしてできたものはいくらでもあります。木魚に仏像、書画、そして寺院自体・・・

それぞれが素晴らしい作品であり、機能性、装飾品としての美しさなど作り手の思いがひしひしと伝わる素晴らしいものばかりです。

しかし、外を見てみてください。庭に、木々、そして石垣などには放置されたかのように苔がついています。

この苔こそが、今回の話の中心になります。

禅寺におけるデザイン思想

禅寺に行っていつも美しいと思うのは、完璧なまでに調和した苔です。

この調和というのが一番大切な思想だと思います。人が思うがままに苔の形を作り変えるわけでもなく、苔が自然に伸びたいままに放置するでもなく、そのお互いのバランス。とても自然です。ある種、放置されたかのような景観。しかし、隙がありません。完璧な自然なのです。

禅の話ではないですが、利休とその息子さんの話が思い出されます。

ある日利休が息子に庭の掃除を任せました。しかし何度やり直しても、「まだだ」といわれてしまいます。すべてを隅々まで清め、綺麗にしたのでもうこれ以上できないと弱音を吐いたときに、利休が木を少しゆすり葉を庭に落としました。「これでよし」

入念に考えて考え抜いて作り上げる。あとは自然に任せる。そしてその自然と調和して維持する。

そんな思想が、禅寺の景観から感じられるのです。

hitotoi(ひととい)の目指す調和とは

hitotoi(ひととい)のデザインはパソコンなどで行っています。もちろん構造的なことや強度的なことで、完全にコントロールできるわけではありませんが、自分が思い描いた完全を目指してデザインしています。

通常であればこれでよいのです。完全に作り上げられたジュエリーはとても美しいものです。

しかし、hitotoi(ひととい)はその完全なものに、コントロールしきれないものを追加して、自分と自然の共同作業として、作品を仕上げています。

そう、それが金胎陶芸なのです。

金胎陶芸の釉薬はわざと不安定に作ってありますので、完全には思った通りにはなりません。その「最後は自然(偶然)に任せる」というところが、今回の禅寺のデザイン思想など、日本の思想から来ています。

ロンドンでジュエリーを勉強しても、やはり行きついたところは日本文化の影響を色濃く受けていました。

この西洋的な完全性と、東洋的な不完全性の融合として、「デジタルとハンドメイドの調和」、それこそがhitotoi(ひととい)の目指すところなのです。これからも、もっともっと高い次元で研究していき、より良い作品を作っていきたいと思っています。

いかがでしたでしょうか?多少例が強引だったり偏っていたかもしれませんが、hitotoi(ひととい)の思想と禅思想のつながりについて、面白く語ることができたのではないかなと思っています。

そんなhitotoi(ひととい)の作品をぜひ皆さんにも見ていただきたいので、オンラインサイトのリンクを張っておきます。お時間がある時にでも見ていただけると幸いです。

hitotoiの金胎陶芸との一期一会をオンラインストアでお楽しみください。

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それではまた。